「正直書評」の酷評から気になった「アッシュベイビー」/金原ひとみ
過激な傑作「アッシュベイビー」を書いた金原ひとみよ、何処へ?
「正直書評」より引用
金原ひとみといえば
家出ギャル少女と、人体改造に片足突っ込んだ少年が出会って孤独を共有しながら儚い愛を知る。
映画を観てから10年ほど経ちますが、衝撃的な映像は今も忘れられません。
わたしがまだ知らないこんな世界があるんだ、と人体改造に魅力すら感じていました。
でも、結末に向かうにつれて悲しくてたまらなかった。
幸せを願わずにいられかった。
そんな、淋しさと心苦しさが残る作品でした。
金原ひとみさんは、売れっ子作家だと認識しています。
だけど、蛇にピアスの痛々しい性的表現の数々がちょっと苦手で、他の作品は避けていました。
そんな時に、冒頭でご紹介した正直書評に出会いました。
「正直書評」での酷評が気になる
随分前に出版されたようですが、つい最近図書館で出会いました。
ブログを始めたものですから、書評に惹かれたんです。
読んでびっくり。
豊崎さんの毒舌たるや、笑いそうになります。
感じたままを、何一つ持ち上げることなく書き綴られていて、とても面白いです。
そんな中で気になった書評が金原ひとみさんの「星へ落ちる」でした。
悲しいことに、期待して読んだらハズレだったということはたまにあるわけで......。
それが金原ひとみの「星へ落ちる」。
「正直書評」より引用
もう、ハズレだとストレートに言ってるわけですよ。
もちろん、売れっ子作家だからと言って毎作品が素晴らしいことはないでしょう。
それに、作品の好みは人それぞれ。
だけど、作者にも届くであろう声を発せられるお方がハズレと堂々と言うことに好感を持ちました。
ということで「星へ落ちる」は豊崎さんいわくハズレだそうです。
でも、アッシュベイビーは傑作だと。
そう綴られています。
赤ん坊しか愛せない究極のペドフィリアを扱って過激な「アッシュベイビー」(集英社文庫)という傑作を書いた金原ひとみよ、何処へ?
こんなつまんない三角関係小説に、ただでさえ少なそうなHP(ヒットポイント)を費やしてちゃ、だめじゃん!
「正直書評」より引用
こう言われますと「アッシュベイビー」が気になって気になってしょうがないんです。
「アッシュベイビー」を読んで
性的趣向は人それぞれということは理解できます。
でも、ペドフィリアは理解したくもない。
大きな嫌悪感と、そういった事実を知ったことに罪悪感さえ覚えるような読後でした。
アヤが村野さんにあれだけ恋心を抱くのは可愛く思える。
掴み所がなくて人に媚びないミステリアスな男性を何故だかとてつもなく好きでたまらなくなる。
そういう心理はわたしにもあります。
「好き」
村野さんへの溜まり溜まった色んな欲求を、とにかく「好き」と伝えることで発散させようとする。
これも、なんだか分かる気がする。
でもなー、やっぱり私は血とか内臓とか苦手なんですよね。
アヤのように、人を惨殺する妄想しちゃう人って現実にいるんでしょうか。
抱えきれない吐き出せない思いを、自らの脚を刺すことで解消する人がいるんでしょうか。
金原ひとみさんは、やっぱりわたしの知らない世界をたくさん知っている気がします。
もっと他の世界を知りたい、って思っちゃう。
でも、痛い思いはしたくないから、やっぱり読まないかな。
小説「屍人荘の殺人」にガッカリしたあの頃と、今のわたしとの違い【ネタバレ有】
「屍人荘の殺人」/今村昌弘
「とにかくすごい!」「こんなの読んだことがない」「驚くこと間違いなし」
そんな紹介文句が軒を連ね、とても興味を惹かれたのを記憶しています。
この小説を初めて読んだのが、2018年の春頃。
当時、王様のブランチの小説ランキングで紹介されたことが出会いでした。
ハードカバーの重みを感じながら、わくわくしてレジに持っていたいったなー。
しかし、あの頃のわたしは、想像とは全く違う反応をすることになるんです。
ミステリーとは
夏の合宿
「今年の生贄は誰だ」という脅迫状
過去の自殺者
やたら出てくるクローズドサークルという言葉
べったべたな展開で始まる物語。
ミステリ愛好会という、うさんくさいサークルに所属する主人公の葉村くんと、「神紅のホームズ」と呼ばれるミステリーオタクの明智くん。
こういう、よくあるコンビが出てくるところも好き。
わたしは好きな運びです。
ここまでは。そう、ここまでは。
読み手にも襲う不穏な気配・・・
ペンションである紫湛荘に向かう途中の発言に、伏線は隠れていました。
「夏とレジャーと若者といえば、僕はミステリよりパニックホラーを思い浮かべますけどね」
「そうそう。ああいう舞台ってたいてい夏じゃないですか。そして羽目を外しているメンバーが真っ先に餌食になる」
「僕らはその餌食ってわけだ」
こんなあからさまな発言があると、それはただのフリだと思うわけですよ。
そう言ったって、そんなことは起きやしないだろう。
それがミステリーだろうって。
でも、わたしが言う「ミステリー」とはなんだったんだろう。
ここから、そう考えざるをえない作品になります。
まさかの展開
徐々に迫りくる、敵というか災いの影。
62ページの辺りでは、それはまだ現実的な細菌兵器だと思っていました。
ただ、不気味な一文が気になる。
もう後戻りはできない。これが彼らの革命の始まりであり----人生の終わりだ。誰一人として革命の結果を目にすることはできないだろうし、仮にそれが叶ったとしてもその時の彼らは意味を理解できはしまい。
「その時の彼らは意味を理解できはしまい」
死んじゃうからかな、って予想もしました。
すぐに、そういことか、と納得しちゃいますが。
そう、ここで本作最大のネタバレ。
この物語の鍵となるのは「屍」すなわち「ゾンビ」だったんです。
それはもう、とても驚きました。
これだけ話題になっていたけど、ネタバレはほとんど目にしなかったんで、ここまで読むまで本当に知らなかったんです。
そのおかげで衝撃が走りましたし、わたしは本を閉じました。
ホラーが苦手
わたしはホラーが苦手です。
ゾンビが出るのも苦手。
しかも、クローズドサークルのように逃げられない環境だとなおさら。
夢に見ちゃうんですよね。
読み進めたい気持ちはあったんですが、展開的にゾンビは出続けるっぽいし、わたしは家にひとりだし←
色んなことが気になって夜寝られない気がして読むのをやめてしまいました。
大きな期待を持って購入したこの作品に、ガッカリしてしまったんです。
ミステリは自由
本誌のはじめに、今村さんが鮎川哲也賞を受賞したことへの言葉を綴っています。
その中にあった心に残る一文がこちら。
恐れ多いのですが、実は本格ミステリに傾倒していたわけではなく、良き本格ファンなどとは口が裂けても名乗れない身なのです。そんな私が「読んだことのないミステリを!」という一念で書き上げた作品がこのような栄誉を賜ったのですから、本格ミステリとは私が思い描いていたよりもはるかに自由で懐の深いものなのだと実感しました。
本を閉じた、あの頃のわたしにはこの言葉が届いていませんでした。
今村さん、半端な人間だったわたしを許してください。
今回、映画化することになると聞き、読み進めていなかったこの作品が気になり改めて読みました。
再読は一気読み必至
さて、一年半前に読んだところをおさらいし、未知の領域へと進みます。
肝試しでゾンビが出てきたところ。
ここら辺りで以前は断念しました。
しかし、今回のわたしは違う。
ゾンビに対する恐怖心が半減しています。
過去に持っていた苦手意識はなくなり、純粋に話の先が気になり一気に読み進めました。
鳴りっぱなしの鼓動
ただ、やはりゾンビの存在は色濃く恐怖を運んできます。
最後まで緊張と不安の連続でした。
印象に残っているところしては、明智さんが襲われた場面。
序盤から鼓動が早くなりました。
ほんわかしたサークルコンパで訪れた紫湛荘は、一変して屍人荘にります。
そう考えると、もうタイトル自体も伏線なのか?!
なんなんだよ!ゾンビが発生って!
と、頭がこんがらがってくるところに、ゾンビ大好き重元くんの解説はこの話の複雑化を解く鍵となっていきました。
「ゾンビの発生は必然だった」
そう重元くんが考察することに、現実的な恐怖をわたしは感じました。
なんだか、いつか現実の世界でも起こってしまうんではないだろうか、って。
そう考えると、この小説は現実離れしたものとは思えなくなりますね。
ただ、「ウォーム・ボディーズ」という映画の話題が出た時はちょっと安堵した。
あの映画はわたしも大好きで、ゾンビの概念が覆りました。
もし、ゾンビについて苦手意識がある方は、この映画を観て頂きたい!
あんな緊迫した場面で、重元くんがチョイスする理由も納得ですから。
ミステリーに対する偏見を捨てる
「こんなミステリー読んだことない!」
読み終わって、やはりそう思わされました。
というか、わたしはミステリー作品に考えが随分偏っていたんだな、と考えさせられます。
ミステリーは好きだけど、あくまでもそれは、わたしが望むような作品を好きだったわけで。
読みたいものを読めばいいんすが、思い込みで作品を決めつけ批評するのは良くなかったと素直に反省しています。
恐い、と思うことはしょうがないし、それも作者の意図かもしれませんが、そういった感情は置いといて読んでみるというのはわたしに必要だな。
班目機関の思惑とは
これはパンドラの匣(はこ)というより。戸棚だ。かつて、班目機関と呼ばれた組織の残した戸棚。今日彼らが開くのは、その引き出しの一つに過ぎない。
読み終わっても後を引き、気になる一節。
廃ホテルに置き去りとなった手帳も、重元くんが持って行った後は分からないままです。
屍人荘の続編も出ているとのことで、この辺りにまた触れていたら嬉しいな。
おっと、また期待が一人歩きし始めている。
でも、期待することは悪いことではないのかな。
作品に対する望みが叶えられなかったとしても、それはそれと割り切る読み手の気持ちが大切なんでしょうかね。
映画版も期待大
既に公開が始まっている映画版。
何を隠そう、わたしは神木隆之介くんが大好きです。
そう、大好きです!!!!!
神木くん演じる葉村くんは、すごく、いいのではないかと思い、観たい気持ちが高まっています。
ただ、先にお伝えした通り、ホラーは苦手。
ゾンビを映像で観るのはきついかなあ・・・。
それでも、あそこまで細部に凝った話がどう収まるのかは見ものですね。
もし、同じようにゾンビの登場に本を閉じてしまった方がいたら。
ゾンビが出てくる前提で読み進めると、楽しく一気に読めます!
どうぞ、改めて本を開いてください。
続編も読んだらまたレビューしたいと思います◎
【福岡】のきさき古本市2019に行ってみた
11/3 (日)に、福岡市中央区赤坂はけやき通りで行われたのきさき古本市に行ってきました。
こういった古本市に行くのが初めてだった私。
感想や、行ってみて分かった必要なものなどまとめました。
足を運んだきっかけ
10月に町の書店で本を購入した際、こんなかわいいブックカバーを掛けてもらったんです!
そこに記載されてて、のきさき古本市のことを知り、行ってみることに。
ブックオカとは
行くにあたってイベントの内容を調べると
BOOKUOKA(ブックオカ)という言葉に出会いました。
どうやら、フクオカ(福岡)とブック(本)を掛けてあるイベント名みたい。
こういう造語だいすき〜。
親しみが持てるし覚えやすい。
このブックオカが始まったのは2006年。
実行委員の方々の思いが繋がって、何年もイベントが続いてるっていうのも素敵ですね。
イベントの感想
前情報も少し調べて、当日は夫と足を運びました。
天神駅でバスを降りて赤坂まで歩きます。
いい運動〜。
大盛況の当日
お天気にも恵まれ、お客さんもたくさん!
けやき通りの西側、東側まで渡ってずらーっと出店されてます。
みんな穏やかに楽しそうです、立ち止まるお客さんも多く、軽い興奮状態でした笑
秋の紅葉もあいまって、本当にいい景色。
お子さんやペットも一緒に楽しまれてる方もいました。
購入ブック一覧
合計3冊の本を購入しました〜。
迷いに迷っちゃいましたよ。
まずは、ふつうに読みたかった2冊。
岡崎京子さんの「pink」
三浦しおんさんの「あの家に暮らす四人の女」
そして、売り出し方法が面白かったのがこちら。
包装紙でひとつひとつの本が包んであって、中身が分からないんです!
小さい窓で表紙の一部分が見えるのと、出店者さんが一言コメントのみ。
直感で一冊買ってみました〜。
その中身がこちら。
おもしろそう〜!!!
こんな出会いも、古本市ならではですね。
本以外もいろいろと
占いが出展されていたり、ブックカバーやしおりなどの雑貨を販売されている出店者さんもいました。
本を購入して頂いた、おまけのしおりはこちら。
古書グリさんは、世界を旅して回って買い集めた本を、年に一回だけ売るそうです。
それがこのブックオカ。
すごい出会いだ〜。
もうひとつ、お店を見て回ってただけなのに、くださったしおり。
ここまで読んでくださった方はお分かりですね。
そう!私は猫好きなんです!!笑
対面販売の良さ
現代は古本も、インターネット上で簡単に買えます。
でも、のきさき古本市に行って、対面販売の良さを改めて感じました。
どんな人が読んでた本なのかが分かる安心感。
また、購入する時に本についてお話しなんかもできます。
一番心にグッときたのは、私が購入する時にすごく嬉しそうな顔をしていた出店者さん。
心がポカポカとするような、現物の本だけではない、出店者さんの気持ちも受け取ったような気がしました。
次はこうしたい
初めて行ってみて、準備不足も感じました。
また来年も行きたいし、次は行こうと思っている方にも参考にして頂きたいです。
カバンは大きめ持参
今回、小手調べ(?)な気持ちで行ったわけですが、思った以上に悩みながら買うことになりまし。
それだけ、おもしろいってことです!
夫も私も購入し、カバンはパンパンに、、。
購入時は本をそのまま手渡されるので、大きめなカバンか、エコバックを持参することをオススメします!
早い時間に行くべき
これは当たり前ですが、早い時間の方が本の種類は豊富です。
また、お店を回るのにも時間がかかるので、年に一度のせっかくの機会、朝からじっくり楽しむことをオススメします!
お店の名前を控える
これは私個人の反省点です。
古書グリさん以外、購入したお店の名前を控えそびれました。
せっかくの一期一会、出店者さん情報も思い出に残したいところ。
名刺やしおりを頂くか、無ければメモに取りながらどこで購入した本か控えましょう!
来年も行きたい!
想像以上に楽しくて、寒空の中汗をかく程でした。
購入することはもちろん、こんなに本好きな人がいるんだ〜、って状況がもう楽しいです。
今年行けなかった方は、2020年もこのイベントがあることを願いましょう!
また、別の本のイベントにも足を運んでみたいな。
ここまでお読み頂いた方、ありがとうございます。